階段昇降機・段差解消機の役割とは?投稿日:2020.06.03 更新日:2020.12.29
若く健康な方であれば、自宅や公共施設にある階段の昇り降りや、どこにでもある何気ない段差を乗り越えるといった動作は、簡単で何気ないものです。
しかし、体が不自由な方、ご高齢の方、車いすを利用されている方にとっては、大きな障害となる場合があります。
階段昇降機や段差解消機は、機械の力を使って階段や段差を昇降できる装置です。身体状況・運動機能に問題を抱える方が安全に階段・段差移動できるよう、自宅はもちろん、学校、医療・福祉施設、駅や商業施設など、さまざまな場所に設置されています。
今回は、階段昇降機・段差解消機の役割やメリットについて、くわしく解説いたします。
目次
階段昇降機は運動機能に問題がある方が安全に階段移動するための装置
階段昇降機は、機械の力で階段を昇降するための装置です。怪我や病気で体が不自由な方、足腰が弱ってしまったご高齢の方は、僅かな段差でもつまずいたり、ときには転倒してしまったりする問題を抱えています。
階段を昇り降りするとなると、大きな負担や危険が伴うでしょう。万が一転落してしまった場合、命のかかわる怪我をしてしまう可能性もあります。
そういった問題を解消するためには、階段昇降機の設置が必要です。階段の端に取り付けたガードレールの上を、椅子に座った状態で昇降します。安全性を保ちながら、スムーズな階段移動ができるのです。
特にひとり暮らし・ご家族が日中不在になるご家庭の場合は、事故を未然に防ぐためにも、階段昇降機の導入をおすすめいたします。
介助者の負担を軽減できる
階段の昇り降りの介助は、介護のなかでも力が必要な作業です。
上手く介助ができずに階段を踏み外し、転落してしまう危険性もあります。
また、日常的に介助を行っている場合は、ご家族の介助疲れという深刻な問題も出てくるでしょう。
階段昇降機は手元に操作装置がついているため、身体状況・運動機能に問題を抱える方でも1人で簡単に利用できます。
介助の必要がなくなるため、ご家族の負担軽減に役立つのです。 介護されている側も、家の中を自由に移動できるようになるだけでなく、「家族に負担をかけている」という気持ちが軽減され、精神的なゆとりが生まれます。
段差解消機は車いすの方が1人でも段差を乗り越えられるための装置
車いすを利用されている方にとって、玄関前のわずかな段差を乗り越え、外に出る行為は大変な労力が必要です。段差が激しい場合は1人での移動が困難なため、介助が必要になるでしょう。
段差解消機は、車いすの乗ったテーブル台が段差に合わせて上下する昇降装置です。車いすに乗った状態で、玄関前アプローチや踏み台といった段差を安全に昇り降りできます。
介助が不要なため、1人でも気軽に外出できるようになるでしょう。 屋内外に設置可能で種類も豊富なため、ご家庭から施設まで、さまざまな利用条件に対応しています。
省スペースで安全に昇り降りできる
車いすで段差を昇り降りする手段としては、簡易スロープを使用する方法が一般的です。
しかし、簡易スロープを設置するには、段差の12倍もの距離が必要です。ある程度のスペースを確保できる屋外では問題ありませんが、敷地が狭い住宅での設置は難しいでしょう。
段差解消機であれば、狭いスペースでも設置できるため、この問題を解消してくれます。 また、段差解消機本体を床に埋め込んで設置(ピット工事)することも可能です。
床とテーブル台のわずかな段差も解消され、スムーズな乗り込みができるだけでなく、つまずきによる落車防止にもなります。
介護保険の適用により最大3割負担でレンタル可能
段彩解消機は福祉用具貸与の「移動用リフト」に分類されます。要介護2以上をお持ちの場合は介護保険の適用対象となり、1〜3割負担でレンタル利用できます。(負担額は所得に応じて変化)[注1]
要支援・要介護1の場合は原則利用できませんが、要介護1で車椅子を利用している場合で、担当のケアマネージャーに理由書(自宅の段差があることを明記)を作成してもらうことで、介護保険による貸与が適用されるケースもあります。
[注1]参考文献:厚生労働省:社保審-介護給付費分科会 福祉用具貸与(参考資料)
階段昇降機・段差解消機の設置で生活の安全性・利便性が向上
ご家庭に運動能力が衰えたご高齢の方や、怪我や病気で身体状況に問題を抱える方がいる、ご本人、またはご家族が車いすを利用している場合は、階段昇降機や段差解消機の設置のおすすめいたします。
バリアフリーでないご自宅の安全性・利便性が向上し、介護を必要としている方だけでなく、介護をする方の負担も軽減されます。