危険なイメージを取り払って階段昇降機で安全便利な生活を投稿日:2020.03.02 更新日:2020.12.29
高齢者にとって住宅の階段は危険
高齢化が進む日本において、高齢者の不慮の事故が増えています。
消費者庁の資料によると、毎年およそ3万人の高齢者が不慮の事故で亡くなっています。
さらに、東京消防庁の資料では、救急搬送された高齢者のうち、転倒や転落による事故が8割にものぼることが報告されています。しかも、そうした事故は圧倒的に家庭などの屋内で起きています。高齢者は歩幅が小さくなり、ちょっとした段差でもつまづいてしまうこともあります。
要介護認定される高齢者の10%は、骨折や転倒をきっかけとしていると言われています。
実際、平成29年度版の高齢社会白書に目を向けると、高齢者が家庭内で起こす事故の約7.5割は住宅内で起こっていて、そのうち約2割が階段での事故とされています。
つまり、高齢者にとって住宅内の階段は転倒の可能性の高い危険な場所と考えられます。核家族化の進行で、高齢者の単身世帯も増えており、独り住まいで持ち家に住んでいる高齢者は6割を超えています。
そうした人が階段で転倒して骨折したりすると、すぐに助けを呼ぶこともできず、重大な事態になりかねません。住宅の階段の上り下りに対する安全対策は、待ったなしの状態となっています。
体力がまだ残っていて、体の動きがスムーズな高齢者であれば、階段に滑り止めを貼るとか、手すりをつけるといった対応で解決できることもあります。
しかし、滑り止めはつまづくことを防ぐことはできず、手すりを使いこなすには腕の力や握力が必要で、筋力の衰えた人や、膝や腰に痛みを抱えた人には無理があります。そんなとき、頼りになるのが階段昇降機です。
いす型階段昇降機で問題解決
階段昇降機には、介助者を必要とするものと、自分だけで操作が行えるものの2種類があります。
可搬型階段昇降機は、利用者をキャタピラのついたそりのような金属製の台座に固定して、介助者が階段の上でスライドさせながら上り下りするという簡易的なものです。介助者が必要となり、危険防止のために講習受講の義務があります。
一方、いす型階段昇降機は、利用者が昇降機に取り付けられたいすに腰掛け、スイッチを入れる、もしくはひじ掛け部分のレバーを倒すだけで、階段に沿って敷設されたレールを伝って、ゆっくりと電動で昇降するものです。
いす型階段昇降機を導入するメリットは、介助者が不要なところです。
このため、家族が同居している場合でも介助者がその都度階段の上り下りを繰り返したり、力仕事をしたりする必要がありません。操作も簡単なため、一人暮らしの高齢者でも導入しやすいです。
また、ケガや病気で足腰に不具合があって階段の上り下りができない人はもちろん、心臓や呼吸器官を患っていたり体力がなかったりする人も、無理なく階上や階下への移動ができます。
一般家庭にエレベーターを設置するのは、スペースや費用、メンテナンスの面でハードルが高いです。
その点、いす型階段昇降機であれば、エレベーターよりはるかに少ない費用で設置ができます。もちろん、踊り場のある階段や途中でカーブしているような曲がり階段にも対応しています。
階段昇降機は危険なのか
いす型階段昇降機は、電動式でありそれなりのパワーがあるため、誤った使い方をすると事故につながってしまいます。
そのため、いす型階段昇降機にはさまざまな安全対策が施されています。たとえば、電源のオンオフにはキースイッチを導入し、鍵を回さないと電源を入れられないようになっています。これは小さな子供が誤ってボタンを押してしまうことや、何かがボタンに触れて意図せず動き出すといった危険がないように配慮されたものです。
いすにはひじ掛けがあり、体を安定させることができるうえ、昇降中に体がずり落ちたりしないよう、シートベルトも装備されています。
足元にも気配りがあり、足置きが広めで乗り降りはもちろん、昇降中も不安や負担が少ない構造となっています。
稼働中に体の一部やスリッパなど、階段と階段昇降機の間に何かが挟まったときには、自動的に停止する障害物検知装置もついていますので、万一のときにも大事に至りません。故障や不具合など異常があった場合は、作動せず異常を知らせるので、トラブルの際も速やかに対応することができます。
安全性に配慮された製品ですが、設置にはそれなりの費用がかかります。現在のところ介護に伴う住宅改修の対象ではないため、自己負担での設置になります。
しかし、自治体によっては設置費用を補助しているところもありますので、確認することをお勧めします。もし、そのような制度がない場合は、中古品を購入すれば新品に比べて安く設置できます。
中古品といっても、信頼できる業者であれば整備やメンテナンスがしっかりしているので、故障や不具合の心配もありません。もっと気軽に使いたいという人には、月々手軽な費用で利用できるレンタルもありますので、無理なく設置できます。